最終回:連載終了にあたって

本連載では、各国の緊急事態宣言や感染対策、そしてコロナ禍およびその対策が惹起する個別の憲法問題について約半年にわたって考察してきた。その間も状況は目まぐるしく変化してきた。当初、第2波が来るかどうかという状況で始めた連載であったが、第2波…

【編集部より】本連載〈書籍版〉刊行のお知らせ

日頃より本連載をご愛読くださっている読者の皆様へ、心より御礼申し上げます。 本ウェブ連載は、次回更新(第15回)をもって最終回とさせていただく予定です。そこで、本連載をもとにした〈書籍版〉刊行予定のお知らせです。 コロナの憲法学詳細はこちら(…

第14回:アメリカにおけるコロナ禍のデモ活動の規制

はじめに アメリカ合衆国という国は暴動の波の中で生まれたといわれることがある。有名なボストン茶会事件をはじめとして、独立前のアメリカでは、本国政府に対する反発などから、多くの抗議活動が行われていた。これらの抗議活動は、時には暴動に発展するこ…

第13回:情報通信技術の活用と個人データ保護

はじめに 今回の新型コロナ対策においては、情報通信技術の活用が大きな役割を果たしている。日本でも、接触確認アプリ(COCOA)が開発・リリースされたことがよく知られている。 大量の情報を迅速に処理することが、大規模化した新規感染症のさらなる拡大防止…

第12回:イギリスにおけるコロナ禍の外出制限・集会規制

はじめに イギリスの新型コロナ感染者数は175万人を超え世界7位であり、死者は6万人を超えた。今年3月から感染拡大が深刻になり、イングランド*1では2度のロックダウンが行われた。政府のコロナ対応には国民から強い不満が表明されたが、その法的根拠をめぐ…

第11回:コロナ禍の信教の自由

はじめに 新型コロナウイルス予防にはいわゆる3密(密閉空間、密集場所、密接場面)の回避が有効とされたことから、屋内の宗教的活動も影響を受けることとなった。たとえば、寺院での法要、神社での祈願、教会での礼拝、モスクでの礼拝など、宗教的活動には…

第10回:休業要請と補償

「休業要請と補償はセット」 「休業要請と補償はセット」というフレーズを、2020年春以来、みなさんもしばしば耳にしてきたことであろう。2020年11月になって、新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加し、日本全国での1日の感染者数も最多を更新する日が…

第9回:フランスにおける感染症対策法制とCOVID-19対策

はじめに フランスでは、「衛生緊急事態」が2度発令され、法律で延長されてきた(1度目は、2020年3月23日~7月10日、2度目は2020年10月17日~2021年2月16日の期間)。本連載第2回で紹介されているように、衛生緊急事態は、平時の感染症対策のしくみの中にCO…

第8回:大学の運営・教育に関する諸問題

はじめに 新型コロナウイルスは、大学における運営や教育にも大きな影響を与えている。緊急事態宣言中はもちろん、それ以前より、またそれ以降も、従来とは異なる対応が大学には求められている。以下では、大学の運営・教育に関する諸問題を概観してみたい。…

第7回:コロナ禍のなかで考える「教育を受ける権利」

はじめに 筆者に与えられたテーマは、「コロナ禍」が学校教育にもたらした影響を「教育を受ける権利」(憲法26条1項)の観点から検討する、というものである。 このテーマについては重要な問題が数多くあるが、以下では、教育が行われる「空間」に焦点を絞り…

第6回:ニュージーランドの緊急事態宣言

2020年10月17日、ニュージーランドで総選挙が行われ、現職のアーダーン首相率いる与党が勝利した。ニュージーランドは新型コロナ対策が成功した例として欧米メディアから注目された国である。 たしかにニュージーランドの対応は迅速であった。ニュージーラン…

第5回:韓国における新型コロナウィルス対策

韓国における新型コロナの状況 韓国では2020年1月20日に最初の新型コロナ感染者が確認された。その後2月下旬には、韓国南東部の大邱広域市において、宗教施設の礼拝でクラスター感染が発生し、全国的に拡大した。だが迅速な対応により、一時はほぼ終息しかけ…

第4回:ドイツにおける緊急事態宣言?

はじめに 一口に緊急事態といっても様々なものがある。ドイツでは、憲法上の緊急事態条項は使われなかった。つまり、憲法上の諸権利が停止されたり、議会や裁判所による統制がスキップされたりするということはなかった。むしろ、通常の憲法状態を維持したま…

緊急寄稿:東京都条例案の意義と課題

9月9日、東京都議会の最大会派である都民ファーストの会は新型コロナウイルス対策の条例案を発表した。第1波や第2派の経験を踏まえて様々な課題が浮かび上がり、その改善に向けて条例制定に取り組もうとしていることは評価できる。少なくとも、既存の法令…

第3回:イタリアにおける新型コロナウイルス対策

はじめに 本連載の第1回を執筆し終えた2020年8月中旬から、イタリアでも新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加傾向にある。とはいえ、9月上旬の段階では、今春の状況を上回るには至っていない。本稿では、同年2月以後、新型コロナウイルスの感染状況を…

特別寄稿:フランス・スイスの緊急事態宣言

はじめに 2020年9月29日(火)、国内外の識者を招いてのオンラインセッション「憲法はいかにCOVID-19に対応できるか?」が開催される運びとなった(詳細は本記事末尾)。オーガナイザーを務める筆者は、このたび縁あって本連載への特別寄稿をする機会を得た…

第2回:アメリカの緊急事態宣言

はじめに 第2回は、アメリカの緊急事態宣言を取り上げる。周知のとおり、トランプ大統領は新型コロナ対策よりも経済を重視する考えの持ち主である。経済にダメージを与えかねない緊急事態宣言には、消極的であるという印象が強い。 他面、アメリカは何か事が…

第1回:イタリアにおける緊急事態宣言

はじめに 本連載の第1回となる今回は、イタリアの緊急事態宣言を紹介したい。イタリアでは、2020年1月、災害防護(防災)法典に基づいて、新型コロナに対する緊急事態宣言が行われた。また、緊急事態に対処するため、行政命令でありながら一定の範囲で現行法…

第0回:連載開始にあたって

はじめに WHOが新型コロナウイルス(COVID−19)のパンデミックを宣言してから約半年が経過した。緊急事態宣言後、一時落ち着きを見せていた感染者数は7月以降増加に転じ、不安な日々が続いている。目下、巷の関心は、第2波がいつ来るか(もう来ている?)と…

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